【ドイツ銀行特集】欧州系最大の投資銀行、ドイツ銀行の全て!企業概要、直近3年間の決算、就活/転職体験記、アルファの特訓等!

Yusuke Kuroiwa By: Yusuke Kuroiwa | Posted: 2025/07/21

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ドイツ銀行の企業概要

ドイツ銀行(Deutsche Bank)は、ドイツを拠点とする世界的な大手金融機関で、1870年に設立されました。本社はフランクフルトに位置し、投資銀行業務、商業銀行業務、資産管理、プライベートバンキングなど幅広い金融サービスを提供しています。世界70カ国以上で事業を展開し、特にヨーロッパや北米、アジア太平洋地域で強い存在感を示しています。

同社はグローバル市場でのトレーディングや企業向け融資、リスク管理などで知られており、長年にわたり国際的な金融システムで重要な役割を果たしてきました。ただし、過去には金融危機や規制違反による罰金など、経営上の課題も経験しています。

ドイツ銀行(Deutsche Bank)の直近の決算および2022〜2024年度の各セグメントごとの業績概要について、現時点(2025年3月5日)2024年度の通年決算が2025年1月29日に発表されたものが最新のデータとなります。

以下では、各セグメント(コーポレートバンク、インベストメントバンク、プライベートバンク、アセットマネジメント、その他)の直近3年間の業績をまとめます。

ドイツ銀行直近3年間の決算

2024年度のドイツ銀行の税引前利益は53億ユーロで、前年比7%減少しました。純収益は301億ユーロ(前年比4%増)で、約300億ユーロというガイダンスに沿った結果となりました。
特に手数料収入が13%増の104億ユーロと好調で、投資銀行部門が収益成長を牽引しました。しかし、長年の訴訟費用(特にポストバンク関連)やリストラコストが利益を圧迫し、純利益は27億ユーロ(前年比36%減)に留まりました。株主への資本還元として、2025年に21億ユーロ(配当13億ユーロ+自社株買い7.5億ユーロ)を計画しています。

セグメントごとの業績(2022〜2024年度)

1. コーポレートバンク(Corporate Bank)

役割:企業向けの資金調達、トレードファイナンス、キャッシュマネジメント等を提供。

⚫︎2022年度
・純収益73億ユーロ、税引前利益16億ユーロ。金利上昇による預金マージンの改善で20%超の成長を記録。
⚫︎2023年度
・純収益77億ユーロ、税引前利益19億ユーロ。引き続き預金収益が堅調で、前年比5%増。非金利収入(手数料等)も成長。
⚫︎2024年度
・純収益75億ユーロ、税引前利益17億ユーロ。前年比3%減。
・預金マージンの正常化が進んだものの、預金量増加と手数料収入の伸びで一部相殺
・内訳は、コーポレートトレジャリーサービスが42億ユーロ(4%減)、機関顧客サービスが20億ユーロ(3%増)、ビジネスバンキングが13億ユーロ(7%減)。

2. インベストメントバンク(Investment Bank)

役割:債券・為替取引(FIC)、資本市場業務、企業向けファイナンシング等。

⚫︎2022年度
・純収益98億ユーロ、税引前利益40億ユーロ。市場ボラティリティを背景にFICが好調で、収益は前年比で大幅増。
⚫︎2023年度
・純収益96億ユーロ、税引前利益38億ユーロ。前年比2%減だが、FICが引き続き安定した収益源(75億ユーロ)。
⚫︎2024年度
・純収益106億ユーロ、税引前利益43億ユーロ。前年比15%増と大幅成長。
・FIC収益が84億ユーロ(7%増)、特に第4四半期は24億ユーロ(30%増)と際立つ。
・市場環境の改善と優先顧客との取引拡大が寄与。

3. プライベートバンク(Private Bank)

役割:個人・中小企業向け銀行業務、富裕層向けウェルスマネジメント。

⚫︎2022年度
・純収益92億ユーロ、税引前利益13億ユーロ。
・ポストバンク統合効果と金利上昇で成長。
⚫︎2023年度
・純収益95億ユーロ、税引前利益15億ユーロ。
・前年比3%増。預金収益と資産管理が安定。
⚫︎2024年度
・純収益97億ユーロ、税引前利益14億ユーロ。
・前年比2%増だが、ポストバンク訴訟関連の引当金(13億ユーロ)が利益を圧迫。
・預金量増加と手数料収入が支え。

4. アセットマネジメント(Asset Management, DWS)

役割:投資信託や年金運用等の資産運用業務。

⚫︎2022年度
・純収益25億ユーロ、税引前利益8億ユーロ。
・市場変動で運用資産残高が減少したが、手数料収入は堅調。
⚫︎2023年度
・純収益26億ユーロ、税引前利益8.5億ユーロ。
・ESG投資需要が成長を後押し。
⚫︎2024年度
・純収益27億ユーロ、税引前利益9億ユーロ。前年比4%増。
・運用資産残高が5兆ユーロ超に達し、持続可能な投資商品が引き続き好調。

5. その他(Corporate & Other)

役割:本社機能や非事業部門のコスト等。

⚫︎2022年度
・純収益-8億ユーロ、税引前利益-15億ユーロ。ヘッジ取引の非対称性や運営コストが影響。
⚫︎2023年度
・純収益-5億ユーロ、税引前利益-12億ユーロ。非事業コストが減少傾向。
⚫︎2024年度
・純収益-4億ユーロ、税引前利益-10億ユーロ。訴訟費用(9億ユーロ超)が主な負担だが、前年より改善。

3年間のトレンドと分析

1. 成長ドライバー
・インベストメントバンクが一貫して収益と利益の成長を牽引。特に2024年のFIC部門の好調さが目立つ。
・コーポレートバンクは金利環境の恩恵を受けたが、2024年にマージン正常化で成長が鈍化
2. 課題
・プライベートバンクはポストバンク関連の訴訟費用が重荷となり、利益が伸び悩む。アセットマネジメントは安定成長だが、市場依存度が高い。
3. コストとリスク
・2024年の非事業コスト(訴訟・リストラ等)が利益を圧迫。信用損失引当金も2023年の15億ユーロから18億ユーロに増加し、ドイツ経済の停滞が影響。
4. 資本戦略
・株主還元を強化(2022-2024累計で33億ユーロ、2025年計画で21億ユーロ追加)。CET1比率は13.5%(2024年末)と堅調。



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